樹脂アルミ複合窓だって、ダメというわけではない
こんにちは、四つ葉工房の篠﨑です。
今回は窓についてお話しします。
以前のブログでも窓の基本に触れましたので、お時間があれば合わせて読んでください。
現在の新築住宅では、ほとんどがアルミ樹脂複合窓か樹脂窓です。
一般的には「樹脂窓」が良いとされますが、窓の性能を考える上でいくつかの基準があります。
「断熱性能」
熱の移動をどれくらい抑えられるかを示した値。窓の性能はこの値で評価され、樹脂窓がアルミ樹脂複合窓よりも高い性能を持っています。ただし、日射取得の観点から見ると、単純には比較できません。
「耐候性能」
窓の耐久性のことです。突発的な衝撃による破損、紫外線による変色や劣化など。こちらは樹脂サッシよりも外部がアルミになっているアルミ樹脂複合窓の方が優れていますが、樹脂サッシも非常に丈夫で、耐用年数は30年以上です。
それでも、まれに樹脂サッシは地震などの影響で破損してしまうこともあります。北海道など本寒い地域では樹脂窓しか使われておらず、それらの地域では樹脂窓の補修業者さんがいますが、関東ではそこまで需要がないので、本業にされている方はほとんどいないそうです。
「コスト」
樹脂サッシはイニシャルコストが高い傾向があります。よくランニングコスト(長い目で見た時にかかるコスト、ここでは断熱性能向上による光熱費の削減)を語りますが、光熱費の削減を考える際には、窓を樹脂窓に変えても必ずしも光熱費が減るわけではありません。
η(イータ)値
今回はあまり一般的でない性能値「η(イータ)値」に焦点を当てます。これは窓の日射取得率を表し、夏などの冷房期の平均日射熱取得率をηAC値(イータエーシー)と言い、冬などの暖房期の平均日射熱取得率をηAH値(イータエーエイチ)と言います。
夏は家の中に入ってくる日射を抑えることで室温上昇の抑制につながるので、ηAC値は小さい方が良いです。
逆に冬は家の中に日差しを入れた方が室温が上がり、暖房費の削減にもつながるため、ηAH値は大きい方が良くなります。
樹脂窓よりもアルミ窓の方が日射の取得率は大きいです。性能の悪い窓の方が室内を温めてくれるということです
しかし、それだと陽が沈んでからの夜間や雨の日などは断熱性能が悪い窓だと室内から外へ熱が逃げていくので結果的に室内は寒くなります。そこでアルミ樹脂複合窓の出番!
LIXILの実験データによると、冬の日射を取り込む工夫をした家でアルミ樹脂複合窓と樹脂窓で比較した場合、光熱費が樹脂窓の方が高くなったという結果が出ています。
断熱性能だけ見ると樹脂窓の方が熱の損失は少ないのですが、日射の取得率による影響の方が大きいことが理由です。
まとめ
結論として、樹脂窓が悪いわけではなく、設計士の技量で樹脂窓以上の結果を得ることもあります。窓の性能にはガラスも影響しますが、住む人がしっかりした暮らし方を身に付けることが大切です。
今回は窓のフレームに焦点を当てましたが、ガラスの性能も重要です。実験データはお見せできますので、ご興味があればお気軽にご連絡ください。それでは、また(^^)/