COLUMN住まいのコラム

相続した不動産を売却する時の注意点

イエタッタ編集部
2020.02.06

 「相続した不動産を処分したい」という相談が多く寄せられます。不動産を売却すると、維持管理が不要になり現金化できるメリットがある一方、譲渡所得税や仲介手数料等の諸費用が掛かります。そこで、今回は相続した不動産を売却する時の税務上の注意点についてお話ししたいと思います。


 不動産を売却するには、まず名義変更を行わなければなりません。遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い不動産の名義変更をします。法務局で手続きを行いますが、名義変更には登録免許税が掛かり、司法書士に依頼する場合には司法書士報酬が必要となります。


 不動産を売却し利益が出ると、確定申告を行う必要があります。利益のことを「譲渡所得」と呼び、売却金額から取得費や譲渡費用を引いた金額が課税対象となります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超の場合、所得税、住民税等併せて20.315%、5年以下の場合39.63%の税率が譲渡所得に対して掛かります。この所有期間は、被相続人が不動産を取得してからの期間となります。


 相続した不動産を売却した時には税金が安くなる特例があります。相続税が発生し相続税の申告期限から3年以内に売却した場合、相続税額のうち一定金額を取得費に加算することが出来るため、譲渡所得が少なくなります。また、被相続人が一人で住んでいた居住用財産を売った場合も特例があります。被相続人の居住用家屋、敷地で昭和56年5月31日以前に建築された等、一定の要件に該当する空き家を、相続開始後3年を経過する12月31日までに売却すると、譲渡所得から3,000万円が控除されます。


 さまざまな税金の特例には期限があります。そのため、不要な不動産を相続した場合にはなるべく早く売却手続きをすることをお勧めします。

 

[取材協力] 

永井智子さん

増山会計事務所 

水戸市千波町1258-2増山ビル

TEL:029-240-3600

 

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